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インスタのメディアキットは、企業に自分の発信を短時間で理解してもらうための1枚から数枚の資料で、自己紹介、発信テーマ、読者像、実績の数字、過去の投稿例、料金や条件、連絡先の順にまとめると、案件の相談を受ける前に必要な情報が揃います。数字は盛らず、期間と数え方を添えて載せるのが基本です。
この記事では、各項目に何を書くか、インサイトの数字をどの期間でどう並べるか、盛らない書き方と盛った表現の違い、料金や条件の書き方、ステマ規制との関係を、記入例つきで順に整理します。記入例の数字はすべて仮の例で、実際の相場や単価、収入を示すものではありません。インスタの機能や画面の細かい仕様は書かず、自分の画面で確かめる前提で組み立てています。
メディアキットとは|企業が最初に確認したい情報を1か所にまとめた資料
メディアキットとは、発信者が自分のアカウントの内容、読者、実績、依頼できる範囲を企業へ伝えるためにまとめた資料のことで、この記事では案件の相談を受ける前に用意するものを指します。
企業の担当者が発信者を探すとき、見るのはプロフィールと直近の投稿が中心です。ただ、そこだけでは「どんな読者がいるのか」「過去にどんな形の投稿を作ったのか」「何を頼めるのか」が分かりません。メディアキットは、その確認を相手が一から探さなくて済むようにする資料です。
形式に決まりはありません。スライド1枚でも、PDFの数枚でも、メッセージに貼れる文章でも構いません。大切なのは、書かれている事実が後から自分で説明できることです。載せた数字や条件は、打ち合わせでそのまま質問されます。答えられない内容は載せないほうが、結果として信頼を損ねません。
案件の依頼が来てから慌てて作ると、数字の出し方に迷い、盛った表現に流れやすくなります。依頼の前に一度作っておくと、依頼文を読みながら「この案件にはこの項目を厚くする」と調整するだけで済みます。
メディアキットに入れる7項目と書く内容
メディアキットの基本は、自己紹介、発信テーマ、読者像、実績の数字、過去の投稿例、料金や条件、連絡先の7項目で、それぞれ企業が判断に使う問いに1つずつ答える構成です。
| 項目 | 企業が知りたいこと | 書く内容の例 |
|---|---|---|
| 自己紹介 | 誰が発信しているのか | アカウント名、発信を始めた時期、発信の目的を2〜3文で |
| 発信テーマ | 何を扱うアカウントか | 扱う分野、扱わない分野、投稿の形式(フィード、リール、ストーリーズ) |
| 読者像 | 誰に届いているのか | 読者の悩みや関心、確認できる範囲の属性 |
| 実績の数字 | どれくらい届いているのか | 期間、数え方、数字を並べた表 |
| 過去の投稿例 | どんな作り方をするのか | 投稿の画面画像と、狙いの一文 |
| 料金や条件 | 何をいくらで頼めるのか | 含む作業、含まない作業、納期、修正の扱い |
| 連絡先 | どう相談すればよいのか | 連絡手段、返信までの目安、窓口 |
この表は、最初から全部を厚く書くための表ではありません。実績の数字がまだ少ない段階なら、発信テーマと読者像、過去の投稿例を厚くして、数字は事実だけを短く載せる形でも成立します。足りない項目を無理に埋めず、書けない項目は「現時点で提示できる数字はこの範囲です」と言い切るほうが、読む側にとって判断しやすい資料になります。
自己紹介と発信テーマの書き方
自己紹介と発信テーマは、企業が「この発信者に頼んでよい分野か」を最初に判断する欄で、扱う分野と扱わない分野を両方書くと相談のずれが減ります。
自己紹介は、経歴の自慢ではなく、アカウントの位置づけを伝える欄です。「何を目的に、どんな読者へ、どんな頻度で発信しているか」を数文で書きます。実在しない肩書きや、裏付けのない経歴は書きません。確認できない内容は、削るのが安全です。
発信テーマの欄では、扱う分野に加えて、扱わない分野を書いておくのがコツです。たとえば「家計管理と時短の投稿を扱う。医療や投資の助言は扱わない」のように線を引いておくと、分野の合わない依頼を断りやすくなります。企業側も、依頼前に合う合わないを判断できます。
プロフィール文や自己紹介の投稿を作り込みたい場合は、自己紹介投稿の構成と文例をまとめた記事が参考になります。メディアキットの自己紹介は、その内容を企業向けに短く言い直したものと考えると書きやすくなります。
読者像は「確認できる範囲」で書く
読者像とは、投稿を見ている人の悩みや関心、確認できる属性を、推測と分けて書いたもので、確認できていない部分は推測だと明示するのが盛らない書き方です。
読者像は、数字よりも盛りやすい欄です。「30代女性が中心」と書くなら、その根拠が自分のインサイトの画面で確認できるのかを先に見ます。確認できる属性は数字つきで、確認できない部分は「コメントや質問から、こうした悩みが多いと受け取っています」のように、推測であることが分かる書き方にします。
悩みや関心は、実際に届いたコメントやメッセージの傾向から書くと説得力が出ます。ただし、個人が特定できる内容や、相手の許可がない引用は載せません。傾向だけを要約して書きます。
属性の確認方法や、インサイトで見られる項目の整理は、Instagramインサイトの見方を扱った記事にまとめています。項目の名前や並びは更新で変わることがあるため、メディアキットには自分の画面に表示された名称で書いてください。
実績の数字の出し方|期間と数え方をそろえて並べる
実績の数字は、期間の長さと数え方をそろえて表にし、どの画面の数字かを添えて載せると、企業が他の発信者と比べるときにも誤解されません。
メディアキットで最も差が出るのが、この欄です。企業が見たいのは、大きな数字よりも「その数字がどういう条件で出たか」です。次の3点をそろえるだけで、資料の信頼度は変わります。
- 期間:直近のまとまった期間を決め、すべての数字を同じ長さで出す
- 数え方:インサイトの画面に表示された項目名のまま書き、自分で言い換えない
- 確認日:数字を取り出した日付を書く
どの数字を載せるかは、依頼したい企業の目的で変わります。商品を知ってもらう目的ならリーチ系、サイトやプロフィールへ来てほしい目的ならプロフィールやリンクの反応系、というように、目的と近い数字を前に置きます。エンゲージメントの計算方法を整理した記事で触れている考え方も、数字を並べるときの参考になります。
次の表は、記入例です。数字はすべて仮の例で、実際の水準を示すものではありません。期間の長さは一例で、決まりはありません。
| 載せる数字(インサイトの表示名) | 期間 | 仮の値 | 添える一文 |
|---|---|---|---|
| リーチ(合計) | 同じ期間(例:直近の1期間) | 12,000(仮) | 確認日と画面名を併記 |
| フォロワー数の増減 | 同じ期間(例:直近の1期間) | +150(仮) | 増減は純増の数字であることを書く |
| プロフィールへのアクセス | 同じ期間(例:直近の1期間) | 800(仮) | 投稿経由かどうかは分けて書く |
| 保存数の多かった投稿 | 同じ期間(例:直近の1期間) | 上位2件の投稿画像 | どんな内容で反応があったかを一文で |
表のとおり、数字だけを置くのではなく、期間、確認日、説明の一文をセットで書きます。期間が揃っていない数字は、読む側が比べられません。たとえば、リーチは長い期間、フォロワー増減は短い期間という並べ方は避けます。
盛らない書き方と盛った表現の違い
盛った表現とは、期間や数え方を示さず最大値や最良の瞬間だけを切り出した書き方で、盛らない書き方は同じ条件で数字を並べ、変動があることも書く書き方です。
| 盛った表現 | 盛らない書き方 | 違いの理由 |
|---|---|---|
| 「最大5万人に届きました」 | 「同じ期間の合計リーチは12,000(仮)、最も届いた投稿の単独リーチは3,000(仮)」 | 最大値だけを示すと、通常時の水準が読めない |
| 「フォロワーが急増中」 | 「同じ期間で+150(仮)。増減の推移は添付の表」 | 「急増」は基準がなく、受け取り方が人によって違う |
| 「ほとんどが20代女性」 | 「確認できる属性は画面のとおり。それ以外は推測です」 | 確認できない割合を断定しない |
| 「多くの企業から依頼があります」 | 「過去に受けた依頼の種類と件数は、公開できる範囲で別表」 | 公開できない内容は件数だけにする |
この4行に共通するのは、読む側が「どの条件の数字か」を再現できるかどうかです。再現できない数字は、盛っていなくても、盛っているように見えます。
数字が小さいことは、隠す理由にはなりません。小さい数字でも、読者の関心が一つの分野にそろっていること、投稿ごとの反応が確認できること、依頼の範囲が明確なことは、企業にとって判断材料になります。数字の大きさで勝負できないときほど、条件を丁寧に書く価値があります。
また、他人の数字や、自分の他のアカウントの数字を混ぜて載せないでください。メディアキットに載せるのは、依頼先の投稿に使われるアカウントの数字だけです。
過去の投稿例の選び方
過去の投稿例は、企業が「自分の商品がどう紹介されるか」を想像するための材料で、数字の高さより、作り方の特徴が伝わる投稿を選びます。
投稿例は、反応の良かった投稿だけを選ぶより、形式の違うものを選んだほうが役に立ちます。たとえば、フィード投稿、リール、ストーリーズのうち実際に作れる形式を、それぞれ1つずつ載せます。依頼先が求める形式があるときは、その形式を前に置きます。
各投稿には、画面画像に加えて「何を伝えようとした投稿か」「どんな流れで作ったか」を一文ずつ添えます。数字を添えるなら、先ほどの表と同じ期間のものだけにします。投稿ごとに期間が違うと、比較できなくなるためです。
他社の商品を紹介した過去の投稿を載せる場合は、先方の了承が必要なことがあります。契約や取り決めの内容は案件ごとに違うため、不明なときは先に確認してください。他者が写り込んだ画像や、他者の著作物が含まれる画像も、載せる前に確認します。
料金や条件の書き方|金額より先に作業範囲を決める
料金や条件の欄は、金額そのものより先に「含む作業」と「含まない作業」を分けて書く欄で、相場を載せるのではなく、自分の作業量から組み立てた条件を示します。
この記事では、料金の相場や単価の目安は示しません。案件の内容、依頼範囲、投稿数、二次利用の有無などで条件が大きく変わり、一律の数字は誤解のもとになるためです。代わりに、金額を決める前に整理しておきたい項目を挙げます。
| 書く項目 | 書き方の型 | 記入例(仮) |
|---|---|---|
| 含む作業 | 作業を具体名で列挙する | 企画案の作成、画像の撮影、投稿文の作成、投稿の公開 |
| 含まない作業 | 別料金か対応外かを分ける | 動画編集は対応外、追加の撮影は別途相談 |
| 納期 | 基準日からの流れで書く | 素材の受け取り後、企画案を出し、確認後に公開 |
| 修正の扱い | 回数と範囲を決める | 文章の修正は範囲を決めて対応、方向性の変更は再見積もり |
| 支払い条件 | 請求と入金の流れを書く | 請求書の発行時期と支払い期日を事前に取り決める |
この表の「記入例」は書き方を示す仮の例で、実際の条件や金額を示すものではありません。金額を載せる場合は、「この範囲の作業の場合」と条件をセットで書き、案件ごとに相談する旨を添えます。金額欄を空にして「案件内容を伺って見積もります」と書く形でも、メディアキットとして成立します。
作業範囲の整理や、金額の伝え方の手順は、単価交渉の前に整理する手順をまとめた記事で詳しく扱っています。請求と入金の流れは、請求書の書き方と入金管理を整理した記事を参照してください。
ステマ規制とメディアキットの関係|PR表記の扱いを書いておく
ステマ規制とは、広告であることを隠した表示を景品表示法の規制対象とする仕組みで、消費者庁は、規制の対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主)だと説明しています。
消費者庁のステルスマーケティングに関するページ(2026年10月16日確認)には、令和5年10月1日からステルスマーケティングが景品表示法違反となること、規制の対象は広告主であること、企業から広告・宣伝の依頼を受けた第三者は規制の対象とはならないことが書かれています。ページには「広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことがいわゆる『ステルスマーケティング』です」とも説明されています。
発信者が規制の対象外であっても、広告であることが読者に分かる形で投稿を作る必要があるかどうかは、広告主との取り決めや投稿の中身で変わります。そのため、メディアキットには「広告案件の投稿では、広告であることが読者に伝わる形にします」といった方針を一文で書いておくと、依頼の初期段階で認識をそろえやすくなります。個別の案件についての最終判断は、広告主や弁護士などの専門家に確認してください。
表記の置き方や判断の軸は、PR表記の判断基準を整理した記事にまとめています。メディアキットでは詳細を繰り返さず、方針だけを書くのが適切です。ギフティングやコラボ投稿の依頼では、投稿の公開範囲や連名の扱いも先に確認しておくと、コラボ投稿の招待と承認の手順の考え方が役立ちます。
連絡先の書き方と、完成後の確認
連絡先の欄は、企業が最初の相談を送る窓口を1つに決めて書く欄で、連絡手段、返信までの目安、対応できない時間帯を添えると行き違いが減ります。
連絡手段は、複数を並べるより、普段いちばん確認する窓口を1つに絞ります。返信までの目安は、守れる範囲で書きます。守れない約束は、書かないほうが信頼されます。個人の電話番号や住所など、公開したくない情報は載せず、必要になった段階で個別にやり取りします。
作り終えたら、次の順で確認します。
- 載せた数字のすべてに、期間と確認日が付いているか
- 推測で書いた部分に、推測だと分かる言葉が付いているか
- 料金や条件の欄に、含む作業と含まない作業の両方があるか
- 連絡先が最新で、1つの窓口に絞られているか
- 他人の画像や、公開の許可がない内容が入っていないか
更新のタイミングは、数字を取り出した期間が古くなったとき、発信テーマや条件が変わったときです。更新するたびに、確認日も書き換えます。古い数字のままの資料は、数字が合っていても誤解を招きます。
よくある質問(FAQ)
- Q1. フォロワーが少なくても、メディアキットは作れますか。
- 作れます。メディアキットは数字の大きさを競う資料ではなく、発信の内容と条件を企業に伝える資料です。数字が小さい段階では、発信テーマ、読者像、過去の投稿例を厚く書き、数字は期間と数え方を添えて事実だけを載せます。
- Q2. 実績の数字は、どの期間で載せればよいですか。
- 決まった期間はありません。大切なのは、載せる数字をすべて同じ長さの期間でそろえ、確認日を添えることです。記事内の表の期間は、書き方を示す仮の例です。
- Q3. 数字がまだ少なくて載せられないときは、どうすればよいですか。
- 載せられる数字だけを載せ、載せられない項目は空欄にせず「現時点では提示できる数字がありません」と書く方法があります。そのうえで、投稿例と発信方針を厚くします。足りない数字を推測で埋めることは避けてください。
- Q4. 料金は必ず載せる必要がありますか。
- 必須ではありません。金額欄を設けず、案件の内容を伺ってから見積もると書く形も成立します。載せる場合は、含む作業と含まない作業とセットにしてください。
- Q5. 過去の投稿を載せるとき、許可は必要ですか。
- 自分で作って自分のアカウントで公開した投稿でも、他社の商品が含まれる場合や、他者が写り込んでいる場合は、取り決めの内容によって扱いが変わることがあります。不明なときは、載せる前に先方へ確認してください。
- Q6. ステマ規制について、メディアキットに何を書けばよいですか。
- 消費者庁のページでは、規制の対象は広告主とされています。メディアキットには、広告案件では広告であることが読者に伝わる形で投稿を作る、という方針を一文で書いておくと、依頼の初期段階で認識をそろえやすくなります。個別の判断は広告主や専門家に確認してください。
- Q7. メディアキットはどのくらいの頻度で更新しますか。
- 頻度の決まりはありません。載せた数字の期間が古くなったときや、発信テーマ、料金や条件、連絡先が変わったときに更新し、確認日も書き換えます。
まとめ|書ける項目から作り、数字には期間と確認日を添える
メディアキットは、自己紹介、発信テーマ、読者像、実績の数字、過去の投稿例、料金や条件、連絡先の7項目で組み立てます。数字は同じ長さの期間でそろえ、インサイトの表示名のまま書き、確認日を添えます。確認できない内容は推測と分けて書き、相場や収入の約束は載せません。
最初から全項目を完成させる必要はありません。書ける項目から作り、足りない項目は「現時点では提示できない」と書いて、依頼を受けながら更新していけば十分です。アカウント運用そのものを順序立てて学びたい場合は、LINEの登録画面に表示される案内を確認して、自分に合うかどうかを判断してください。

